ゾイド ジェネシス第22話「誓い」感想。

世界が広いことについてのルージの反応は王道中の王道。周りがただ驚いている中でその世界の広さを自然な形で受け入れられるというのは少年少女だけが持つ可能性の表現としてはスタンダードですね。
今回のメインはレ・ミィ、ギャグ担当要員になりかけたこのタイミングでレ・ミィの掘り下げをやってくれるというのは良い間合いだと思います。このレ・ミィの過去話は本当に良かったです。これも王道でしたので展開は読めていたのですが、父の言いつけどおりラ・カンの役に立とうとするミィの必死な決意は可愛いくてカッコよく、少し悲しいです。幼い身で父が惨殺されるのを目の当たりにしたにもかかわらず、父との約束を胸に前に進んでいけるというのは、強いんでしょうね、ホントに。そして本人も良い意味で強くあろうとしていると思います。
ラ・カンの演説も王道。かなり正当派なヒロイック物語ですね。
今回視聴していて思ったのですが、この作品、「機甲界ガリアン」っぽいなぁ、ということです。ジョジョとルージの立ち位置は違いますが、マーダル軍とディガルドの作品上の意味合いは酷似していますし、ザイリンもハイっぽい(笑)。この作品のみが似ていると言うよりも、むしろ正統派ヒロイックファンタジーのフォーマットでロボットアニメを製作するとガリアンみたいなイメージを抱かせることになるのでしょうね。ガリアンではクライマックスで急展開がありましたが、本作は最後まで良くも悪くも王道を貫くのでしょうか。
この作品に欠点があるとすればルージかなぁ。いえ、ルージはめちゃめちゃ魅力的なのですが、それゆえ何と言うか清濁併せ呑むところの濁が無い。私はホントに清らかなルージってのも良いキャラだと思いますが、それゆえに若さゆえの蹉跌をもう少し経験させて欲しいような気もします。ガリアンにおいてジョジョはとらわれた母のことについてだけは周りが見えなくなるという描写がありましたが、あれは本当に良かったです。ルージは本当にまぶしいのですが、それに不快でない程度の「人間としての失敗」を加えることで、逆にカタルシスをより強くすることが出来るのではないかなぁ、と思います。
あと完全な王道というのも頭一つ抜ける事ができない要因足りうるかもしれません。王道をきちんとやってくれることで良質な作品となっているのですが、所謂「名作」はそれに加えてプラスアルファの個性があります。その個性とは例えばガリアンで言うところのクライマックスというわけでは必ずしもなく、王道の枠すら超えた全体的な筆致の精密さとかそういうものです。
とはいえ十分楽しませてもらっているこの作品。変に意欲的になって破綻するよりはこのままのほうがいいのかも。というか現時点でも、上記のような点において批判できるくらい良質な作品です。名作たることを期待できるということですから。
あとレ・ミィの正装を見て「お姫様なんだなぁ」といつもとのギャップを実感するシーン、ベタベタなのは言うまでもないのですが、レ・ミィの顔、ガチでいつもとは別人じゃありませんでしたか(笑)。作画はもう少し安定させて欲しいです。
追記、そういえば最後にロンによるゾイド紹介のコーナーが追加されていました。こういうコーナーは各機体の大まかな特徴が把握できますし、いろいろな機体が登場するため、見ていて面白いでしょうから結構好きです。本編ではロンは怪しげな言動を見せ始めていますが、今回このコーナーに抜擢されたということは最後まで味方側のポジションなのですかねぇ。裏切るというシナリオのカモフラージュだとしたら王道のシナリオの中でパターン破りとなるので結構驚くかもしれません。もしそうだとしても、それはそれで面白いと思います。それともガリアンでいうところのウーズベンのようなポジションになるのですかねぇ。