ゾイド ジェネシス第39話「入城」感想。

今回は非常に面白かったです。前回のヒキから一旦退却した場面は多少拍子抜けしてしまいましたが、その後のトラフの要害としての立地の説明、またそれを逆手に取った奇襲作戦はかなり好き(物理的に可能かはともかく,アニメーションですし。)。湿地帯に立地する城ということで、備中高松城羽柴秀吉の水攻めを連想してしまいましたが、発想としては水攻めと真逆ですね。
基地指令の臨機応変な指揮も、3クール目のラストを飾る相手として相応しいものとなっていますが、フェルミの命令無視(指揮権は無いようですので厳密には違いますが)、フェルミが四天王となっている根拠をきちんと描写していただかないと、単なる謎人事になってしまうので以降に期待でしょうか。
人間ならともかくゾイドに入城されてしまっては、いかに要害といえ一たまりもありません。戦国時代に出羽角館城主であった戸沢盛安は捕虜を手当てし送還したそうですが、ラ・カンも送還まではしないもののきちんと手当てし、司令官の指揮官としての力量を認め尊敬するという王道描写。このあたりも本話の密度の濃さに寄与しています。
ジェネレータをフェルミから守ろうとした際のライガーのエヴォルトの使い方は、今まででも最も効果的な用法だったと思います。各形態の特徴もわかりやすく、視覚的にも華がありました。自分の村のことを思い出し、珍しく激昂するルージは非常に良いですね。反ディガルドのきっかけたる自分の村の事件についての思いも良くわかりますし、こういう激情こそ戦闘を扱ったアニメの醍醐味ともいえましょう。
そしてロンが天空人であるとの暴露。このあたりはまんまガリアンといった感じ。いわゆる管理者であるランプレート人の手にすら余ったマーダルと、基本的にはソラノヒトの隷下にあるディガルド王との立ち位置の差異は大きいですが、違いといえる違いはこれくらいではないでしょうか。ただし、この差異は意外と大きな意味を持っているようで、過剰な管理の否定というテーマ性を前面に押し出したガリアンに対し、本作では完全懲悪、あるいは超越者との対戦(このあたりはこれ以降の展開次第)というヒロイック性を前面に押し出した作りとなっており(ガリアンも多分にヒロイックではありますが)、敵ボスの立ち位置の差異こそがこれの法源となっているように思えます。しかし、これといいサブタイトルの付け方といい(ボトムズに似ていますよね)、本作が高橋良輔氏へのリスペクトに見えてしまうのは、私が高橋監督の信者だからでしょうね・・・。そういえばランスタッグの槍もパイルバンカーチックでした(笑)。
次回は遂にザイリンが再登場ですか。非常に楽しみです。