ゾイド ジェネシス第25話「進軍」感想。

各隊の隊長たちの会議。ほかの隊長さん方が言うように、ラ・カン達だけ7人も参加するというのは明らかに筋が通らないと思います。また、ラ・カンもルージにやむなく現時点で進軍せねばならない必要性を説いていましたが、そのことからも進軍派、慎重派をひっくるめてどの隊長の意見にも一分の理があること判るかと。それだけにラ・カンたち以外の諸隊の人たちが必要以上に愚か者として描写されているのはちと引っ掛かります。それぞれの隊長さん方がそれぞれの立場から見た正論を述べているのは非常に良いのですが、現時点での演出が各隊の人たちを否定的に捉えているので、その正論がきちんとした演出意図通りに表現されたものなのかどうかは不安です。
ルージが会議中にはきちんと意見を述べられなかったというのは良い感じです。ルージは「失敗が少ないキャラクター」であると言えます。見ていて爽快ではあるのですが、あまりにも失敗が少ないとキャラ造形が平坦であるとの印象を受けてしまいます。今回のようにルージのまっすぐさやシナリオの展開を阻害しない、「こういったところはまだ成長の余地があるな」と感じさせてくれるような失敗はルージというキャラを表現する上でぴったりなのではないでしょうか。また、ルージはあまり悩まない、悩む前に行動するタイプのキャラなので、たまには懊悩するルージってのも見たいかなぁ、と思いました。
進軍ということですが、この一揆勢には軍略に通じ、大軍を指揮したり非常事態を収拾する能力に長けた人物がいません。ラ・カンにしても現時点の描写では、一揆勢統合の象徴たるカリスマとしての魅力や戦術レベルの指揮は申し分無いものの、司令官としては教科書どおりの戦略しか立てられていませんし、大軍をうまくまとめる手腕は持ち合わせていないようです。この話の流れでは一揆勢は一敗地に見えるでしょうが、その敗戦を収集し、再出発した軍勢を上手く動かしていくポジションがラ・カンではいまいちピンときません。このあたりがどう表現されるかはまだわかりませんが、うまくやって欲しいものです。
対して、戦術レベルではイマイチなものの、大軍を動かす能力に長けているのがザイリンのようです。今回の描写の限りではラ・カンの戦略を完全に読みきっていました。知ってか知らずかは判りませんが、キャラ描写の必要上、自然と戦術と戦略の別が描写されることとなったのは面白いです。ともあれザイリンさん。その愛すべきキャラクターから初期はネタ扱いされていたようですが、そういった愛嬌の部分を勘案しなくとも非常に面白いキャラです。優れた戦略家という点のみでも、戦略家のいない一揆勢のキャラクターの立ち位置と対比することでとても面白く話を展開することが出来ますし、加えてディガルドの被征服民から取り立てられたという事実によって、「陽」たるルージの「陰」としての役割を担っています。伏線も様々に張り巡らされているので、一揆勢に寝返ることも含め、多彩な動かし方が可能です。寝返って一揆勢の弱点を埋めるにしろ、ディガルドの忠臣として活躍するにしろ、本当に効果的に働かせることが出来そうなので素敵です。
この作品は視聴していて本当に気持ちが良いです。3クールか4クールかは分かりませんが、長期にわたって放映してくれると言うのは本当に嬉しい。テレビ東京系は基幹局ネットに過ぎませんので、願わくば全国放送して頂きたいとこですが、系列外局ではどのくらいの局が放映なさっているのでしょうか。系列外放映局を調べてみたのですが情報があまり無く、広島ホームテレビさんで放映されていることしか分かりませんでした。
えっと追記、系列外では広島県宮城県で放映されているそうで、やはりネット局数が少ないなぁ、という印象です。広島局と仙台局も基幹局扱いする場合がありますから、ほぼ完全に基幹局ネットですね。ホントに良作だと思いますので、是非全国で放送して頂きたいです。