ガンダム特集。

昨日のガンダム特集について思ったことをいくつか。
ガンダム評は以前書いたので念のため(http://d.hatena.ne.jp/geisyu_gutara/20050806/1123361715)。
うーん、私、富野氏の様な方は少し苦手。なんというか、愚痴が多いんだよなぁ。印象としてはマイナス思考型の人間です。エンターティナーに徹すれば非常に素晴らしいんですが、理想どおりにいかない鬱憤やら何やらを溜め込んで、作品中で駄々をこねるためエンターティナーに徹せないタイプでしょうか。
で、寝ながらも朦朧とする意識の中で第三部の途中まで拝見していたわけですが、やはりなぁ、ラスト近くの「機動戦士ガンダム」は正直言って嫌いです。なんというか、何が気に入らないんだろ。ニュータイプニュータイプうるさいというのもあるのですが、キャラの言動がその位置づけにそぐわない感じがします。理性的というより本能・欲望的な挙動が多い感じでしょうか。それでいて理想ぶっている。生々しすぎて下品になっていると言い換えてもいいかも。もっと具体的に言うと富野氏同様キャラクターが文句を言いすぎというか(笑)。それと色事の描写が多すぎてかっちりしていない印象があります。ラルまでもが戦場に女を連れてきていたりするのは冷静に見るとなんか違和感があるんですよね。超然的なのも感情移入できませんが、俗っぽ過ぎても反感を抱いてしまう。ここら辺のさじ加減が重要だとは思います。シャアとキシリアの会話なども不自然なんですよねぇ、特にキシリアがガルマについて割とスルー気味なのが。互いに平然として芝居がかっていて気持ち悪い。後半は芝居がかっていて不自然というのもあるんですよねぇ。
ただし、序盤、特にテレビ版は本当に好き。おおむね以前記述したとおりで、さらに終盤の変な意味での俗っぽさや芝居がかった感が少ないです。文芸は全体としてはそこまで締まっている印象ではないのですが、非常に繊細ですし(これがプラスにも働くしマイナスにも働くのだと思いますが)、演出が神レベルです。
台詞回しも良くも悪くも凡人には思いつかないもので特徴的です。私も好きな台詞がかなり多く、それと同程度に嫌いな台詞もたくさんあるのですが、浮世離れした感というのかなぁ。戦士たる軍人が戦場で言うのはマッチしているのですが、非戦闘時にいっていると違和感がある、「浮世離れした俗っぽさ」が感じられるものが多いです。そもそも、私が後半のガンダムに抱く違和感の正体もこれかもしれません、俗っぽくても生活に根ざしているものなら感情移入できますが、理想論で俗事を語っているから変なことになるのかと思ったりします。
今回は批判が多いですが、これはやはり劇場版だからかと思います。劇場版では私の好きな「機動戦士ガンダム」が削られているんですよねぇ。「時間よとまれ」や「ククルス・ドアンの島」といった好きなサブエピソード群もないですし(文芸の面でもそうですが、演出においては革新的すぎます。最高。)、塩が足りなくなるエピソードも削られているので生活感が薄い。早くからニュータイプが強調されるようになったのも個人的にはかなりマイナス。また、戦闘シーンも短縮され、整合性が重視されるようになったため戦闘が平坦な印象です。シャアの超機動の量がかなり減っていて残念です。序盤のシャアが凄く強いということが実感でき、けれん味もありますからあの無茶な動き、大好きなんですけどねぇ。一番大きいのは要点だけを切り貼りしたって印象が否めないことです。どうしても説明不足な点が出てきますし、テレビ版を見ていないとモヤモヤ感が晴れないです。
ガンダムは文芸より演出が先行する作品だと思うのですが(特に終盤においてです。ララァ周りなんて全て演出の妙だけで構成されていると思う次第です)、ロボットアニメにおいては文芸より演出の方が求められる感はありますね。ガンダムは文芸もわりかししっかりしていますが、文芸がスカスカでも演出が神レベルだと大ヒットを飛ばす可能性がある気がします。私自身はどちらもきちんとやられている作品でないと満足できないのですが。