超獣機神ダンクーガ感想。

全て見終わったので感想。と申しましても、見終わったのが結構前ですので簡単めに。
んー、何と申し上げましょうか、イマイチです。シナリオのテンポが妙なんですよねぇ。例えば、通常であれば「敵襲→敵襲の報告→発進→到着→戦闘→撃破」と言うプロセスを踏むべきところが、本作では「敵襲→戦闘→撃破」という感じになっている、一事が万事このような感じで、本来踏まなければならないはずのプロセスが省略されています。何と言うか、典型的な素人が書いたシナリオと言う感じで、「あー、俺が何かのシナリオ書いてもこんな感じになりそうだな」と思いました。個々の台詞もあまり練られておらず、素人が「お、俺の考えたこの台詞カッケー。」と思う感覚と似たものを感じました。
作画も今ひとつで、戦闘シーンなどは殆ど動きませんし、それ以外のシーンでも異常なまでにセルを節約していると言う感じで、動きが非常にぎこちなくなっています。止め絵一枚一枚は結構綺麗ですので、勿体無いなぁ、という感じ。
長所はキャラクターの特殊性といったトコでしょうか。良いと感じるか悪いと感じるかは好みの問題なのですが、主役である獣戦機隊のキャラクターはそれまでのヒーロー像とは一線を画しています。70年代に一般的な優等生的ヒーローや、80年代に一般的な星飛雄馬的苦悩する主人公像とは異なり(このあたり私の考える一般的なヒーロー像というものを上手く説明できません。ゴメンナサイ。)、不良っぽい感じ。子供っぽい反逆性やらニヒリズムやらを表現しようという意図が感じられます(ここも上手く言い表せないのですが)。これを気に入るかどうかで、本作に対する評価は大分変わってくるのではないかと思いました。私は大して気に入らなかったので、全体的な評価もイマイチですが。
特筆すべきキャラクターとしてシャピロ・キーツという男がいます。シャピロが本当の天才であるか小才子であるかは評価が分かれるところだと思いますが、この男に関しては一種のリアリティがあるような気がします。シャピロは自分が神に成り代わろうとした男で、その野心は際限なく、変態と言っていいと思います。ただ、彼が持っているような全能感やナルシズムというのは、自らの才能を恃み、自らを天才だと思っているタイプの人々ならば持っている様な物ではないのかなぁ、と思うわけで。最後には周囲の者全てに見捨てられ、なお自らを神とする発狂したシャピロの姿は、決してリアルではないのですが、アニメ的に誇張されたリアリティというものは感じられました。シャピロに関しては気に入っています。
それ以外のキャラクターは描写に一貫性がなくてイマイチでした。
音楽は結構良かったのですが、劇中で挿入されるタイミングが非常に悪い。曲が場面に合っていなかったり、唐突に挿入されたり、キリの悪いとこで途切れてしまったりします。
全体的な評価としては残念ながら凡作ないし駄作。素人レベルの表現が目立ちました。キャラクターを気に入るか気に入らないかが完全に好悪の分岐点になってくると思います。